新学期が始まり一ヶ月ほどが経過しました。
塾の人間だからこそ分かる、感じることを少しお話します。
※多少批判的な意見になってしまう部分もありますが、ご容赦ください。
今年度、中学は教科書の小改訂というものがあり、塾は教科書や問題集を一新する必要がありました。
問題集は四月の上旬に。
教科書は子どもに届きわたってから一般に販売、という制約がありましたので四月下旬にそろえることができました。
小改訂ですが、前橋では採択する出版社、教科書そのものが変わったものもあり、教える側は少しだけ注意が必要になりそうです。
中学1、2年生はどこに気をつけるべきか
英語は注意が必要です。
小学生の頃から英会話を習っていたり、小学校でも教わったりしているし大丈夫でしょ、と考えている方もいらっしゃると思います。
しかし、「小学校できちんと教わっている」というのは現状、幻想にすぎません。
小学校の先生方を批判する気は毛頭ありません。
ただ、まじめにやってきた小学生複数に話を聞いたり、確認したりしていますが小学校で覚えるべき単語や文法については、
「小学校では教わらなかった。塾に来て初めて聞いた」
という反応をされます。
栄伸館は中学生以上が対象で、実際中学入学の少し前からでも間に合いますが、スタートダッシュに失敗してしまうと英語が苦手、嫌いになってしまう可能性は十分にあります。
「英語がやばい」と感じる少し前、「最近少し難しい気がする」というくらいの段階で塾を頼っていただくのが良いかもしれません。
数学、国語、理科、社会も思考力、表現力を問うような記述問題が増えました。
得意な教科はともかくとして、苦手な教科は学年が上がる前に何かしらの対策をしないと高校入試に支障が出てしまうかもしれません。
中3生、学校の進度で大丈夫?
私が中学3年生の頃は、1、2年で地理と歴史が終わり、3年からは公民だったように記憶しています。
地理・歴史・公民と三冊教科書があり、それぞれ同じようなページ数ですから私はそれが本来の姿だと思います。
ただ・・・今年含め、この数年公民に移行するのが遅すぎると感じます。
特定の中学だけではなく全般的にですね。
昨年は模擬試験に間に合わないので、慌てて塾で学習するということもありました。
公民の教科書後半は難しい単元ではなく、歴史の後半をしっかり授業で扱いたいという意図は分かるのですが・・・
数学もですね。
昨年、成績上位の生徒に話を聞いたところ、
「難しくないところに時間を割きすぎている気がします。」
と言っていました。
もちろん、勉強が得意でない子を置いていかないのも大事です。
しかし、早めに範囲を終えてしまって、入試直前は入試対策で自習。
分からない子は個別にフォローする、というかたちでも良いように思うのですが難しいのでしょうか。
高校生 希望の大学へ進学できるのか
高校生ともなると現実を突きつけられます。
学習内容、スピードが大きく異なります。
それが何を意味するのか?
大学を選べるか、妥協せざるを得ないか、です。
別の言い方をすれば、一般入試で勝負できるか、できないか、です。
大学は二極化が進んでいます。
『晶文社 大学受験案内2026』によると、今の高校生の保護者世代で受験者が最も多かったのが1992年だそうです。
受験人口を入学定員で割った平均倍率は約1.8。
つまり、二人に一人しか大学へ進学できませんでした。
しかし現在の平均倍率は1を切っています。
選ばなければ、どこかの大学へは進学できる。
そういう時代です。
では、受験者が多かった時代と比べ、大学入試は簡単になっているのでしょうか?
答えはNOです。
詳細は省きますが、「多くの高校生が行きたいと考える大学」と「そうではない大学」の極端な二極化が進んでいるのです。
「浪人してでも」と受験者が集まる大学もありますが、志願者確保が厳しい大学が多数という時代です。
近年では「大学でどのようなことを学んできたか」ということを重視する企業が増えています。
選ばなければ確かに大学は行けるのかもしれませんが、大学に行ってまで義務教育のやり直しをするようなところに行く価値があるとは思えません。
現時点で定員割れしているような大学は今後さらに厳しくなるでしょう。
安易で楽な道を選択させてしまうのは、大人として、してはいけない事だと個人的にも塾講師としても感じます。
大学は一般入試か年内入試か
私が高校生の頃は、少なくとも私の周囲では推薦入試は一般的ではありませんでした。
しかし私がこの業界に入った10年位前にはかなり当たり前のことになっていて驚きました。
2025年現在、いわゆるトップの進学校だと推薦もありますが、一般入試が大半なようです。
難関私立大学を目指したり、国立大学の医学部などを目指したりして2月、3月まで頑張るわけですね。
しかし全体で見ると年内入試の人気が高まっています。
学校推薦型や総合型選抜は年内に合否が決まってしまうので、近年では年内入試と呼ばれています。
先述の、あまり人気がない大学は早期に入学者を確保できますし、そこまで学問に熱意がなく、できれば早めに大学を決めてしまいたいという需要とマッチしているわけですね。
もちろん、推薦で進学することも悪いことではありません。
しかし、行きたい大学や学部に推薦枠があるとも限りません。
塾の人間としては、できる限りは妥協せずに行きたい大学、学部に行ってほしいものだなと思います。
塾に出来ること
色々と書いてきましたが、現代で塾に求められることは少なくないと思います。
学校の先生や保護者の方々では難しい部分をフォローすること。
大人として、塾の人間として客観的な助言をすること。
AIの時代になりつつありますが、人間だからこそできることも多々あるはずです。
色々と勉強し、私自身も成長していきたいなと思います。
個別指導塾 栄伸館塾長 小西啓太